『Road to Zepp 』 草ケ谷 遥海(アルバム)


友人に誘われて草ケ谷遥海さんのワンマンライブに行ってきた。彼女はテレビの新人発掘などの番組で何度も入賞したことのある、若手の女性歌手だ。
お台場のZeppダイバーシティの会場はほぼ満員で、19時半の開演間際に着くと二階の関係者席に通された。

友人とぼくは、むかし一緒に学生バンドを組んでいた仲だ。
彼は進学後も音楽学校に通い『ゴーショーグン』や『モスピーダ』などで有名な羽岡先生に学んで某事務所からいくつかのCDを出していた。その関係で今回のライブに招待されて、ぼくはそのご相伴に預かったのだ。
久々に友人たちと飲みに行く前の楽しいイベント、というつもりで参加したのだが。

彼女の開口一番、エネルギッシュでパワフルなその歌声にぼくはがつんとやられた。 かと思えば、ジャズでソウルフルな艶っぽい歌声に頭がくらくらし、リズミカルなベースの振動がぼくの体を包んで揺らした。
まるで原始的な祝祭のようだった。
祝詞をあげてかみさまを降ろすかのような心地のよい絶叫と歌唱がつづく。一体どこからそんな声がでてるんだろうと驚くべき豊かな響きが歌になり、会場の空間をすみずみまで満たしていく。大音量なのに耳許で優しく歌われているような声に、全身が包まれる不思議な体験をした。
人間の喉はしゃべるよりもさきに歌うために存在した、という話を彼女を見ていて本気で信じたくなった。

プロより上手い学生、という期待の新人が今日からプロになるという。そこまでの道のりは平坦ではなかったのだろう。
情感が溢れて涙をみせた曲間のMCに、魅力的で快活な印象を受けた。

今日は生で間近で聞くほんもののパワフルな歌手のライブは、こんなにも素晴らしい体験なのかと教えてもらった気がする。
帰り際にCDまで頂いた。友人に感謝だ。
そのお礼になにもお返し出来ないなら、せめて応援してみたいと初めて思える人に出会ったような気がしている。またライブがあるなら行ってみたい。今後に注目しよう。

 ・カバー
レイニー・ブルー
listen(ビヨンセ)
I Love you(H.U.B、クリス・ハート)

・オリジナル
DIAMOND
誓い
Dance Dance Dance!

『I Love you』 では二胡の奏者にゲストの方(kiRiko)が来ていたが、歌声と二胡が相乗して素晴らしい曲になっていた。
この方の弾く『菊花台』(作曲:周杰倫)という曲も実にいいのでオススメ。